先週の土曜日、八万町の『シアワセな家』上棟。
少々生臭い話になるが、これから建築を志す人にとって、現実はダークサイドもあるということを知るのは大切だと思うので、続けよう。
さて、この地区ではいまだに水利組合なるものが色々とうるさいのには正直驚いた、と同時に閉口した。
浄化槽設置の届出の際の「放流同意」の問題は、昭和63年10月27日付の環境省通達「衛浄64号」により違法であるとされたにも関わらず、既得権だと思いこんでいる一部の水利組合により、現実には悪習として続いているところがある。
その事実を踏まえて、平成9年4月11日にも「
衛浄19号」として重ねて通達が出されているというのに、いまだに駆逐できていない。
現場に現れた組合長と名乗る男にも違法という認識だけはあるのか、決して自分からは同意"金"の話はせず、放流の挨拶に来いと繰り返すのみだが、同意自体が違法なのに挨拶もなにもないだろう。
つまるところ、同意"金"が必要なのかを聞いてみれば、「常識に任せる」という返事。
その男の話そのものが非常識なのに、「常識」を持ち出すとは実に噴飯ものだ。
また、仮に「常識的な範囲の同意"金"」というものを収めたとしても、水利組合としての公的な収支報告書などは存在しないのだという。
しかし、ウィークエンドハウスとはいえ、この地でクライアントはこの先も生活を営まなければならないので、クライアントの利益を優先すべき代理者としては、これ以上事を荒立てるわけにもいかない。
結局、事の次第や法的解釈、歴史的背景を十分説明して、結論はここで暮らすことになるクライアントの判断に委ねるしかないのだ。
今回のように「近隣関係」を楯にされた場合、ノンフィクションの世界では必ず正義が勝つとは限らない。