ほぼ毎日、洗濯物を干すという作業は俺の役割ということになってしまっている。
家内はやらない。
彼女は出勤前の僅かな時間、まだ布団にしがみついているから。
なので、高齢の母親が数年前に短期間入院したことをきっかけに、この作業が俺のルーティンワークに加わったと記憶している。
だがこの洗濯物を干すという作業、実は嫌いではない。
なかなかどうして、奥の深いものがあるのだ。
シャツやパンツなど様々な形状や厚みの違う衣類を、隣家で太陽が隠れる時間までの軌道を予測して、限られたスペースに効率よく吊ったり掛けたりするのだが、なにぶん6人家族ともなると洗濯物もかなりの量になる。
それぞれの影がなるべく干渉し合わないように干す位置を考えたり、ハンガーの重量バランスに留意したりと、問題意識を持って臨めば僅か10分あまりの「洗濯物を干す」という単純作業も、それなりのアミューズメントである。
キレイに晴れた朝など、最高に気分が良い。
1日をスタートするための儀式としては、イチオシだ。